小学校高学年向けのアクティビティ ~Food around the World~

坂本ひとみ(東洋学園大学教授)

Hitomi Sakamoto今回紹介するのは、小学校高学年向けのアクティビティです。食べ物の原産国を示した世界地図をクラス全員で作り上げます。そして、一人一人がみんなの前で、英語で発表することにチャレンジするのです。スーパーマーケットのチラシなどを利用して、身近な食べ物から世界とのつながりを考えることを目的としています。

食べ物は年齢を問わず、誰にとっても興味のわくトピックです。同じコンセプトで英語表現のレベルを上げ、内容を深いものにしていけば、中学校、高校、大学でのレッスンプランも作ることができます。ここでは小学校高学年向けの指導案の流れを紹介します。

1.準備

このアクティビティを行う前の授業で、児童には「スーパーマーケットに行って、外国から輸入されている食べ物を見つけてくる」という課題を出しておきます。

2.導入

(ここでは、キウイフルーツを例に挙げます)キウイフルーツをきれいな包装紙に包み、リボンを結んでプレゼント仕立てにします。それを児童に見せて、”What’s this?”と問いかけるところから始め、児童にyes/no questionやwh-questionを考えてもらいます。

たとえば、大きさから推測して、”Is it an egg?”と尋ねる児童がいるとします。教師は、”No, it’s not an egg. It’s a fruit.” とヒントを出していきます。

別の児童が、”What color is it?”と聞いたとしたら、”It’s brown outside, and the inside is green.”と答えます。児童が”It’s a kiwi fruit!”と正解を出したら、その児童に渡して”Open it!”といい、開けてもらいます。

そして、”Where is it from?”とクラスのみんなに尋ねます。”It’s from New Zealand!”という答えが出たら、黒板に貼ってある世界地図のところに児童を呼び、ニュージーランドを指してもらいます。

3.練習

(ここでは、コンビニのお弁当を例に挙げます)児童にコンビニのお弁当を見せ、鶏のからあげを指して、”Where is the chicken from?”、エビフライを指して、”Where is the prawn from?”と尋ねます。スーパーマーケットで外国産の食べ物を見てくる課題をやった児童から、いくつかの国名が挙がるかもしれません。その国名を黒板に書きだし、数名の児童を前に呼んで、世界地図で各国の位置を確認していきます。教師は児童に”Where is Brazil?”と声をかけ、児童が地図上でブラジルを探すといったように。

ほかにどんな食べ物がどこの国から輸入されているか、スーパーマーケットで見てきた児童に発表してもらい、教師は黒板に食品名と国名を英語で書いていきます。いくつか予想される食品と国旗の絵カードを用意しておいて、黒板に貼っていくのもいいでしょう。

4.課題

次の授業までに、児童はスーパーマーケットのチラシを見て、外国産の食べ物を見つけてきます。そして、一番興味を持ったものを選んで切り抜き、その国の位置を地図で確認しておきます。また、英語での発表準備をしておくように課題を出しておきます。近ごろは、新聞をとっていない家庭も多いようですが、チラシはスーパーに行けばもらえるので問題ないと思います。

教師はあらかじめ作っておいた、単数、複数両方の例を入れたサンプル文とワークシート(児童が自分で食品名と国名を書けば、オリジナルの発表原稿が完成するもの)を配ります。この原稿を覚えてきて、児童は一人一人、みんなの前でチラシの切り抜きを見せながら英語で発表します。そして、黒板に貼った世界の白地図の該当国のそばに、それを貼っていきます。

(例①) I like cherries.

The cherries are from the U.S.A.

(例②) I like beef.

The beef is from Australia.

このワークシートを渡したときに、単数、複数、数えられるもの、数えられないものの簡単な説明が必要になるでしょう。文部科学省が作った小学生用の英語テキストも、『英語ノート』のときにはこの問題にまったく触れないようにしていましたが、『Hi, friends!』になって、簡単に触れるようになりました。

日本人にとって難しいところですが、最初からここは児童に教え、将来、”I like dog.”ではなく、ちゃんと”I like dogs.”と言える人を育てたいと思います。ただ、気をつけるべきことは、小学生のうちは、間違えてもうるさく直しすぎないことです。

まずは、英語で話したいという気持ちを育てましょう。文法は中学以降、その文法事項がターゲットになっているときに、その場で直していってあげましょう。

5.課題の事前確認

児童がワークシートを使って発表原稿を作り、スーパーのチラシの切り抜きを持ってきたら、教師は発表前にチェックしてあげましょう。ALT(Assistant Language Teacher)に手伝ってもらって、発音面もみてあげられるといいですね。
次の授業で、各児童が切り抜きを見せながら発表し、それを世界地図に貼っていくと、以下のようなポスターが出来上がります。教室の壁にしばらく貼っておいて、児童がこのテーマに関心を持ち続けるようにするといいでしょう。

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中学、高校、大学と年齢が上がるにつれて、内容を深め、より高度な英語の文章を読んでいけるよう進めていきたいものです。たとえば、チョコレートが生産されるアフリカのガーナで起きている児童労働のこと。それに対してアクションを起こした日本の若い女性たちが作ったNGOのことなど。

生徒・学生自らがどんどん調べて、自分の生きる力に通じていくような学びにしていってほしいと思います。大学生用の異文化理解の英語テキストとしては、私の友人であるGregory Goodmacher先生が作られた『Multicultural Perspectives』(マクミラン ランゲージハウス)をおすすめしたいと思います。

このレッスンプランをご自分の教え子のレベルに合わせて、実践してみてください。実践されたご報告、待っています。

 

◆東洋学園大学教授。専門は児童英語教育、アメリカ先住民研究で、小学校テーマ別英語教育研究会(ESTEEM)の副会長を務める。一橋大学、東京大学(非常勤講師)、東洋女子短期大学(教授)などを経て、2006年より現職。その傍ら、2000年より3年間、自宅で子どもの英語教室を主宰。2004年より、千葉県小学校英語活動を支援し現在に至る。人間教育、グローバル教育、平和教育としての英語授業を作ることにフォーカスを置いており、学習者が生涯を通じて意義のあるテーマに何度も出会いながら学びを深めていく、小・中・高・大 連携カリキュラムの実践と研究をしている。 主な著書に、『your world』(共著、子どもの未来社)、『子ども中心ではじめる英語レッスン』(デビッド・ポール著、共訳、ピアソン・エデュケーション)、『アメリカ研究とジェンダー』(共著、世界思想社)、『アグネス・スメドレー 炎の生涯』(共訳、筑摩書房)、『イギリス文化事典』(共著、大修館書店)、『ことばのスペクトル~こころ~』(共著、リーベル出版)などがある。