メディア・リテラシーの意識化をはかる
伊藤晶子(共著:Joseph Shaules/斉藤早苗/Stephen Jenings)

 

fish in water メディア教育の視点に立つ英語教材「Fish in Water」を上梓したのは2001年のことです。以降、メディアの多様化は急速に進みました。劇的な変化はなんといってもソーシャルメディア、特にSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の出現です。その当時はFacebookやTwitterなど影も形もありませんでした。多様化したメディア社会を生き抜くために、ますますメディア・リテラシー(メディアをクリティカルに読み解き主体的に使いこなす力)が必要になってくると思います。

 

今回、改訂版を執筆するにあたり、ソーシャルメディア、コンピュータゲーム、Cool Japanを代表する漫画・アニメなどのトピックスを加筆しました。なぜならメディア教育では現在の学習者(学生)の生活とメディアのかかわりに重点を置くため、今日的なトピックスを扱うことが不可欠だからです。

 

改訂版を使用して気が付いたことを述べてみたいと思います。まず心配したことは、昨今の活字離れの影響で、英文を読んで考える教材は敬遠されるのではないか、ということでした。幸いなことに、学生の学習意欲が高かったこともありますが、ペアや小グループで行うアクティビティがクラスの活性化につながり、問題なく授業を進めることができました。

 

単調になりがちな本文(約42,3行)の読解は次のように行いました。録音された音声をワン・パラグラフ聞いた後、座席順にひとりワン・センテンスずつ音読してもらいます。問題のない簡単なセンテンスは読み飛ばし、難しいセンテンスにあたった学生には説明を求めるのです。音読と「運」が影響する遊びの要素を盛り込むことで集中力が途切れることはありませんでした。

 

一年間のコース終了時には、「自分の生活がいかにメディアに影響を受けているかわかった。これからはメディアからの情報には注意したいと思う」という感想をもらいました。

一例ですが、メディア・リテラシーを意識化、その力をつける、という到達目標は、ある程度達成できたのではないかと思います。また、アクティビティを通して、リアルな学生の姿を垣間見ることができました。意外な学生がブログをやっていたり、ゲーマー(コンピュータゲーム愛好家)だったり。好きな漫画・アニメ作品の発表ではクラスが大いに盛り上がりました。

 

 

 英語は多国間のコミュニケーション言語としてグローバル化しています。そこから溢れる情報を言語とメディア・リテラシーの二つの視点で読み解く。そのような授業をこれからも行っていきたいと思います。