The Story of English
ウザワシステム教育研究所 鵜沢戸久子

 

   日本の言語教育の一番大きな欠陥は、教材が細切れなことだと考えています。国語教育も名作を何冊も読んだ方が、教科書を勉強するよりはるかに国語力がつくと思いますが、外国語である英語に関しては言うまでもありません。

 

  かつて語学の天才と言われたシュリーマンについて読んだことがあります。彼はそもそも就職のためにフランス語を知る必要に迫られたとき、フランス語の小説を2、3冊読んで暗記したらフランス語で十分仕事ができた、ということです。その後も、言葉を知らない国へ行くとき、汽車の中でその国の本を一冊暗記し(ここが天才である所以ですが)、駅に降り立ったときは不自由なく現地の人と話ができた、と書いてありました。もちろんこれは天才の話です。でも天才といえども我々と同じ人間です。天才が瞬時にできることでも、時間をかけて、人に助けられて同じことをやれば、似たような結果が出るはずだと私は考えています。 その理論により、私は教え始めたころからずっと生徒には何冊もの本を訳して暗記させて英語力を付けさせてきました。 この場合、英語の本ならなんでもよいか、というと、そうではなく、よい本ならそれだけの効果があります。常に優秀なネイティブの先生を用意できるわけではないので、きれいな英語のテープ付きで、内容も充実して、暗誦する価値のあるよい英語の本でなければなりません。こうなると捜すのに一苦労でした。 幸いなことに20年ほど前でしたか、たまたまマクミランから出ている「The Journey Through Japan」というテキストを見つけました。アラン・ブースさんが日本を旅した旅行記で、多くの生徒たちがこれを訳して暗記して一生ものの英語力をつけて卒業していきました。それが絶版になった時に見つけたのが、同じくマクミラン社の「The Story of English」でした。アラン・ブースさんがリライトして吹き込みもしているので、何となく馴染みもあり、使い始めました。ところがこれは大成功でした。

 

  「英語とは何か」という内容は私たち講師にも大いに啓発されるものがあり、英語自体が大変しっかりしたよい文章なので、訳をすることで英語の構造がよく身につきますし、暗記するのも楽です。初めは高校生に使っていましたが、今では指導法が進歩したので、小学校からウザワで英語を勉強してきた生徒は中1でも正確に訳して暗記しています。

 

  さてその具体的な効果ですが、2、3の例をあげれば、中1、中2で準2級を受ける場合、「The Story of English」に入ると合格します。中1入会の時から中学受験の失敗で全ての勉強にやる気がなく、休みや遅刻が多くて苦労していた中2に、思い切って「The Story of English」を導入したら、急にテープを聴き始め、英語ができるようになってきました。出来ないながら、これこそ「the 英語」と感じたのでしょう。

 

  これは学校で使える教材だと常々考えています。中学は無理としても、高校でもこのくらいの教材を一冊教材として与えたら、生徒たちは本当に英語が楽になるでしょう。特に男子校では文法ばかりやっている高校が多いですが生徒たちは英語が大変そうです。子供たちは学校のことなら一生懸命にやります。テープを持たせて暗記させる、一斉授業では無理なら、個人的に希望者にやらせたら、思ってもみないほどの英語力がつくはずです。 ウザワでは他の教材もありますから、中学2、3年から始めて一冊終るのに3、4年かかりますが、これだけは終らせて卒業したいとみんな言います。中2から浪人生まで、「The Story of English」が、ウザワの人気ナンバーワンの教材です。

 

  何年か前でしたか、関西の大学で英語講師をしていらっしゃる先生からメールを頂きました。「私もThe Story of English が大好きで使ってきましたが、今の大学生は難しくて嫌がります。仕方がないので今はビートルズに関するテキストを使っています。生徒たちは喜んでいますが、私はもう一度「The Story of English」を使いたいと考えています。」

 

  今の日本の大学生の英語力の実体が分かって驚きました。でも教育とは生徒に迎合することではなく、導くことではないでしょうか。大学のシステムはよく分かりませんが、中2ができることが大学生に出来ない訳がありません。大学でも是非このテキストを使ってほしいと思います。嫌がっても使っていけば、絶対に英語力が付きます。将来仕事をするようになったとき、役に立つのは、ビートルズではなく、「The Story of English」だと思っています。

 

 

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