PBT(Paper Based TOEFL)を積極的に活用しよう
横浜国立大学 大学教育総合センター 渡辺 雅仁/田島 祐規子

TOEFLって何?

TOEFLは英語圏の大学に入学を希望する留学生の英語力を測定する試験で,世界的に認知されたいわば「世界標準」のテストです.高いTOEFL得点があれば,海外のさまざまな教育機関への入学が可能になるばかりか,海外での企業研修やボランティア活動,国内外の就職活動を有利に展開できます.

 

さまざまなTOEFL

TOEFLは長らく紙媒体を用いて,Listening, Grammar, Reading力を測定するPBT (Paper Based TOEFL) が行われてきました.2000年より,Writingテストの必須化とともに,コンピュータを用いて受験する,CBT (Computer Based TOEFL) に改編されました.さらに2005年には,Speakingテストの必須化とインターネットに接続したコンピュータを持つテストセンターで実施される iBT (Internet Based TOEFL) が始まりました.PBT, CBT, iBTはそれぞれ異なる得点尺度を利用しているので,テスト間での得点換算表が公表されています.

 

17万人が受験するTOEFL ITP

国内では,2000年より中断されていて,すでに過去のものとなった感のあるPBTですが,現在もなお根強い人気があります.日本国内の多くの大学が,英語科目の能力別クラス編成や単位認定,語学力の測定等の際にTOEFL ITP (Institutional Testing Program) と呼ばれ,試験実施を教育機関に委託する,PBTの過去問題を用いたTOEFLを実施しています.その総数は,20085月の調査で,500団体,17万人となっています (http://www.cieej.or.jp/toefl/itp/data.html).大学生協の中には,組合員に対しITPを年に数回実施しているものもあります.(詳細は,全国大学生協連ウェッブサイトを参照http://www.univcoop.or.jp/) 現実に2007年には,受験者からの強い要望に基づき,日本と韓国のみの特別措置として, PBTが復活しました(Writingは必須) (2008年以降のPBT実施については,TOEFLを管轄するETS (Educational Testing Service) のウェッブサイト: http://www.ets.org/toefl, 等を参照してください)

 

PBTこそiBT高得点のカギ

PBTがこのように支持される理由には何と言っても受験のしやすさが挙げられます.第一に受験料です.現在,iBTの受験には170米ドル(日本円で約17,000)かかりますが,大学生協主催のITPでは約4,000円で受験できます.第二に試験からSpeakingWritingテストを除外できるので,学習範囲が少なくて済みます.

 

年に数回,ITPを受験し,Listening, Grammar, Reading力を養成し,並行してiBTSpeaking Writing対策を行い,最終的にiBTを受験する,というのは,英語圏に留学を希望する人にとっては,極めて現実的なTOEFLの学習法です. また,たとえ留学する希望を持っていなくても,PBT学習を通じて,分野にとらわれない幅広い英語力が養成できます.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大学や専門学校,大学生協で実施されるITPには,以下の2種類があります:

Level 1 TOEFL: 試験時間は約115分,最低310点から最高677点の得点範囲.正規PBTと同一の環境で実施される.

Level 2 Pre-TOEFL: PBTの過去問題を使用するが,試験時間が約70分と短く,最低200点から最高500点の得点範囲を持つ.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

試験時間や得点範囲は異なるものの,310点から499点の範囲であれば,Level 2の得点であっても,そのままでLevel 1,すなわちPBTと同一のものとみなされます.309点以下や500点の場合には,PBT得点との互換性はありません.

 

英語資格・検定試験で得点を向上させるには?

TOEFLに限らず,英語資格・検定試験の得点を向上させるためには,以下の3項目を抑えた学習が必要です.

 

1.      Test Skills(テストスキル)を学ぶ

試験で高得点を取るには,試験問題の傾向についての理解が欠かせません.どのような形式で問題が出題されるのか,正解にならない選択肢にはどのようなものがあるのか,効率良く正解の選択肢を選び出すにはどうしたらよいのか,といった受験する試験に有効な技能を修得します.

2.      Diagnostic Tests(診断テスト)による実戦的な学習と弱点の理解

分厚い参考書を多数学習しても,限られた時間内に正しい答えを連続して選択する練習をしなければ,本番の試験で良い点は取れません.技能別の学習がある程度進んだら,実際の試験になるべく近い環境で問題を解く練習をします.問題を解き終わったら,成績のみに一喜一憂するのではなく,答え合わせとともに,自分の英語力について何が不足しているのか,間違えた問題から十分に分析します.

3.      弱点とレベルに応じたLanguage Skills(語学スキル)を学ぶ

英語力は,読む,聞く,書く,話す,の4技能に大きく分かれます(語学スキル, Language Skills).この4つの技能について,例えば,「Readingは得意だが,Listeningは苦手」のように,得意とするものとそうでないものとが分かれる場合がほとんどです.また,診断テストの結果から,さらに細かく「単語力はないものの,文法知識はある」,「会話形式のリスニングはできるが,講義形式のリスニングになると苦手」,「社会系の読解問題はよくわかるが,科学系の問題には手が出ない」といった分析もできるでしょう.自分の英語力について,何が得意で,何が不得意かを把握し,自分の弱点が克服できるようなレベルに合った学習を進めます.間違えた問題や,知らなかった語句,例文については,後から,本当に理解したか確認できるよう,確認のチェック欄とともに,ノートにメモを取ることは,弱点克服の第一歩です.不得意とする技能ほど,短期間で,大幅な得点の向上が期待できます.

 

Developing TOEFL Skills の特長

本書,Developing TOEFL Skills は,前節「英語資格・検定試験で得点を向上させるには?」に対応するように,前項の3つの活動がバランスよく含まれています.

Test Skills

本書のTest Skills のセクションではPBTの特徴を踏まえ,限られた時間内で効率よく正解を導けるよう,テスト全体や個々のセクションはどのように構成されているか,それぞれの問題で何を解答すればよいのか,どのような設問があるのか,受験者に不正解を選ばせるtrick (ひっかけ)にはどのようなものがあるのか,等々のことがらについて学びます.

Language Skills

PBTListening(リスニング)Structure(文法)Reading Comprehension(読解)3つのセクションごとに,高得点が取得できるよう,英語力を養成します.トピックや語彙は,PBTでよく出題されるものが精選されています.

Diagnostic Tests

実戦形式で実力を養成できよう,実際のPBTになるべく近い形で作成された診断テストです.診断テストの受験することで,全体の得点と問題の正解とともに,自分の弱点は何なのか,弱点を克服するには,本書のどのセクションを学習すればよいのかが確認できます.

本文の解説,練習問題はすべて英語で記述されていますが,みなさんの理解が十分に行われるよう,適宜,以下のような,日本語による内容理解のポイント(☆で提示)やヒント(★で提示)が与えられています.

☆正解以外の選択肢はどのように会話と関係しますか?

☆わからない熟語表現が出てきた時にはどうしますか?

2 3 語からなる動詞表現に注意!

verbal ( 動詞表現) idiom はどのように異なりますか?

☆で示された設問への答えや,★で示された学習活動を,自分のことばでわかりやすくノートにまとめて行きます.こうすることで,日本語訳を行わずに全体の大意を把握する,英語による英語の理解が進みます.

 

Developing TOEFL Skills,全38ユニットの学習を通じて,PBT高得点取得に必要なスキルとともに,レベルの高い教養教材をその文化的背景とともに,しっかりと学習してください.