これからの英語教師に必要な指導技術(1) ~特別支援を要する生徒への対応術~

瀧沢広人 (埼玉県小鹿野町立小鹿野小学校教諭)

20120308-4
昨年、文部科学省から6.5%という数字が出された。これは、全国の小中学校で1クラスの中に、発達障害など特別な支援を要する児童・生徒が占める割合である。特別支援学級ではない。

ADHD(Attention-Deficit / Hyperactivity Disorder:注意欠如・多動性障害)、LD(Learning Disabilities:学習障害)、AS(Asperger Syndrome:アスペルガー症候群)など、なんらかの発達上の障害を抱えている児童・生徒が全国の小中学校で普通学級1クラスあたり、6.5%いるというのである。30人学級であれば、約2人。

私たちは全体指導をしつつも、この6.5%の児童・生徒への指導を同時にしていかなくてはいけない。その技量を、これからの教師は求められていることになる。

例えば、そのような児童・生徒はbとdを間違えてしまったり、単語を何回書いても覚えられなかったりする。また、先生の後に繰り返して音読すれば読めるのに、「じゃあ、読んでみよう」と言って、1人で読ませようとすると、黙ってしまい、読めなかったりする。これらの児童・生徒は、なんらかのLD(ディスレクシアなど)を疑う。

教師はまず、この「疑いを持つ」ところから指導が始まることを知ってほしい。日本におけるディスレクシアの割合は、4.5%。英語圏では、10%から20%との報告がある。

発症時期はさまざまで、小学校のときにディスレクシアの症状が見られなかった児童でも、中学校に入り、文字を見たときにその症状が現れる生徒もいるのである。そのときになって初めて、LDの傾向があることに気づくのだ。また、日本で普通に学習していた人がアメリカの大学に行ったら、LDと診断されたという報告もある。

これが意味するのは、漢字や計算など、ある程度できるのに、英単語だけはなかなか覚えられない、書けない、という生徒がいたとしたら、LDを疑ったほうがいいということである。その「判断する目」をこれからの教師は、持っていなくてはいけないのである。そして、もしLD傾向だとわかれば、英単語プリントを工夫したり、1回に覚える単語数を減らしたり、と工夫ができるのである。

逆に、「判断する目」がなければ、「なぜできないんだ!」、「努力が足りない」、「ノートに10回ずつ書け」となる。それによって、生徒は「やってもできない」、「どうせできないんだ」、「英語はわからない」と思うようになり、自己肯定感(セルフエスティーム)を減少させてしまう。

教育は夢を語るところ。どんな児童・生徒も認め、励まし、応援し、生きる自信を持たせることが大事なのだと、自戒をこめて、感じるところである。

◆埼玉県小鹿野町立小鹿野小学校 教諭。埼玉大学教育学部卒。埼玉県小鹿野町立小鹿野中学校で21年間教壇に立つ。その後、小学校外国語活動に携わりたいという思いから、同町立小鹿野小学校に異動。今年で5年目になる。主な著書に、『英語授業面白ゲーム集』(明治図書出版)、『授業を100倍楽しくする! 英語学習パズル&クイズ』(明治図書出版)、『文法入試力』(明治図書出版)などがある。