コミュニケーション活動を活性化するCLIL

笹島先生 笹島茂(埼玉医科大学)

写真は、ヘルシンキ大学のHeini-Marja Järvinen先生とのツーショットである。先生はフィンランドでCLIL (Content and Language Integrated Learning)を推進している一人である。私は、日本でもフィンランドをモデルとしてCLILを推進すればよいと考えている。CLILは、英語教育に限らず、日本の今後の教育全般に影響を与える可能性がある。

 

私が勤務する埼玉医科大学医学部では、同僚のChad, Mike, Martin, Frances, Steven, Riu各先生と協同でCLILを展開している。もちろん、日本的にアレンジしたCLILだ。その一環として、『New Airwaves』を使ってコミュニケーションの授業もしている。英語による基本的なコミュニケーション、特に双方向性のある やり取りを中心とした(dialogic)授業は、受験勉強を中心に英語に接してきた医学生にはとりわけ必要だと感じているからだ。これがCLILの基礎を作っていると言ってよい。

 

New Airwaves』を使ったコミュニケーション活動のおかげで、健康科学を扱うCLILの授業がより活性化する。逆に、CLILがコミュニケーション活動の内容をおもしろくさせているとも言える。英語カリキュラム全体は総じて学生からの評判はよい。「英語で健康科学を学ぶ」というと堅苦しくなってしまうが、コミュニケーションを重視することで、「考える」「他の人とのかかわり」などを大切にするCLILの特徴が活かされ、相乗効果として、英語によるコミュニケーションが円滑に自然に行われるようになっていると考えられる。

 

CLILを知らない人もいるので、CLILについて簡単に説明しよう。「内容言語統合型学習」と訳されることが多いが、CLIL(クリル)と呼ぶほうが分かりやすい。要するに、「理科、数学、地理、音楽などの科目内容と言語(英語)の両方を統合して学ぶこと」である。「それならば私も実践している」という人もたくさんいるだろう。それほど特別な指導技術が必要ではない。しかし、「やはり英語は文法をきちんと教えるべきだ。学習者が混乱する」などの反応もあるだろう。それも一理あるが、実際にやってみると意外に楽しいという印象を持っている。  CLILの特徴は次の4つのキーワードで表されることが多い。この4つの原理を理解して指導すれば、それだけでCLILと言えるだろう。

  • 内容(Content) ・・・学ぶ内容に焦点を当てる
  • コミュニケーション(Communication) ・・・言語(英語)を使う
  • 認知・思考(Cognition)・・・言語(英語)に関連して考える
  • 文化(Culture)・・・様々な状況に柔軟に対応する

 

実際の授業展開には型はないので、上記の4つの原理を基本に、教師が学習者とともに学ぶ場を演出する。うまく展開できると実におもしろいし、さらには、学習者の自律を促す可能性が高い。ぜひ、始めてみてはどうだろうか?

 

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